2024年に都道府県の協同組合連携組織を対象に実施した実態調査の結果を報告します。
(調査対象時点:2024年3月)
県域における協同組合の連携組織は、各地域の自発的な動きとして作られてきました。42の都道府県に連携組織があり、参加する主な会員組織はJAグループ、生協、漁協、森林組合、労金、労働者協同組合で、これにJAや単位組合が加わる県域もあり、全国の会員団体の総数は484団体でした。都道府県によっては労福協、信用金庫、信用組合、中小企業組合が参加するところもあります。近年は地域での連携を重視して協同組合以外の団体に組織を広げる動きもあり、参加団体は今後も増加することが見込まれます。
もっとも早く設立された組織は長野県協同組合連絡会で、1971年の設立で50年以上の歴史があります。その他、2000年より前に設立された比較的歴史の長い組織が42組織中21組織と半数を占めます。
設立年代別にみると2010年代が15組織と最も多く、そのうち2013年は8組織と最も多くなっています。これは2012年の国際協同組合年(IYC)のために結成された準備委員会や実行委員会が母体となってIYC終了後に連携組織が設立されたためです。
また、近年では改組によりこれまでのあり方を見直す県域もいくつか見られます。2025年の2回目の国際協同組合年でもこれを機にさらなる連携の活発化が期待されます。
(2010年代以降の内訳)
※改組があった組織は改組年を設立年としています。
県域組織ごとの加盟団体数は、少ないところは4団体、多いところでは84団体とバラつきがあります。4団体の場合の多くは、JA中央会、生協連、漁連、森林組合の県レベルの連合会で構成されています。これに加えて、グループ内の関連団体や幅広い協同組合組織の加盟により構成団体は多くなっています。更に単位組合が加わることで、地域に密着した活動が活発に行われている県域もあります。近年は大学、地元の新聞社、NPOなど、協同組合以外の組織が加盟しているところもあります。
学習会や国際協同組合デーの取り組み・環境保護の活動・協同組合フェスタやまつりが多数開催されており、コロナ禍で自粛してきた活動が再開されている様子が伺われます。その他、テレビ番組の協働制作、パンフレット・ポスター制作や駅のデジタルサイネージで協同組合について発信するなどの広報活動に取り組む組織がありました。
活動内容 | 実施数 |
---|---|
1. 学習会、国際協同組合デー | 67 |
2. イベント(協同組合フェスタ、まつり等) | 52 |
3.子ども食堂・子どもの居場所づくり | 4 |
4.フードバンク・フードドライブ | 8 |
5.環境保護(保全活動、植林・森林整備、清掃活動等) | 29 |
6.防災減災活動、被災地支援 | 4 |
7.健康づくり | 3 |
8.生活の困りごと支援 | 6 |
9.協同組合間の相互協定 | 6 |
10.大学寄付講座 | 1 |
11.店舗連携 | 5 |
12.商品開発 | 2 |
13.その他 | 33 |
計 | 220 |
学生に協同組合への関心を持ってもらうため、大学での寄付講座等を通して認知度向上に努めている県域組織もあります。県域組織を構成する団体が講師を務めることで様々な協同組合の事業や取り組みを伝え、全体を通して協同組合への理解を促す内容となっています。
県名 | 実施先 | 講座名 |
---|---|---|
北海道 | 北海道大学 | 「フレッシュマンセミナー」 |
山形 | 山形大学 | 「労働と生活」(連合講座) |
福島 | 福島大学 | 食農学類「協同組合講座」 |
茨城 | 茨城大学 | 「協同組合論」、「大学生と消費生活」「公共政策論」 |
埼玉 | 埼玉大学 | 「ダイバーシティ協同組合論」 |
岐阜 | 岐阜大学 | 「農業政策学」「農業・環境経済学」 |
三重 | 三重大学 | 「協同組合論」 |
大阪 | 関西大学 | 商学部「大阪の支え合いの経済を考える」 |
摂南大学 | 農学部食農ビジネス学科「非営利協同論」 | |
愛媛 | 愛媛大学 | 法学・政策学特別講義「協同組合とは何か」 |
鹿児島 | 鹿児島大学 | 農学部「協同組合を知ろう」 |
沖縄 | 琉球大学 | 「協同組合論」 |
※報告いただいた情報にJCAで把握している情報を加えています。