「国際協同組合デー」は、全世界の協同組合員が心を一つにして協同組合運動の発展を祝い、平和とより良い生活を築くために運動の前進を誓いあう日で、毎年7月第1土曜日と定められています(2017年は7月1日)。本年の国際協同組合デーの世界共通テーマは「包摂」です。この国際協同組合デーを記念した中央集会が7月7日(金)、東京の有楽町朝日ホールにおいて「協同組合はだれも取り残されない社会を実現します~賀川豊彦から持続可能な開発目標(SDGs)へ~」をスローガンに、「日本協同組合連絡協議会(JJC)」と「国際協同組合年記念協同組合全国協議会(IYC記念全国協議会)」との共催で開催され、会員団体役職員をはじめ、協同組合関係者、メディア関係者など約500名が参加しました。
集会では、奥野長衛氏(全国農業協同組合中央会会長・IYC記念全国協議会代表・JJC委員長)が開会挨拶を行い、格差の拡大や環境問題など諸課題に触れながら「協同組合は持続可能な社会に変えていく力を持っている」と述べました。
続いて、一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク代表理事稲場雅紀氏ならびに賀川豊彦記念松沢資料館副館長・学芸員杉浦秀典氏をお招きし、それぞれ「持続可能な開発目標(SDGs)と協同組合への期待~次の世代につづく世界と日本をめざして~」「賀川豊彦の遺産―愛・協同・未来― 持続可能な社会への先駆者から学ぶ」と題した基調講演を行いました。
基調講演後、テーマを「賀川豊彦からSDGsへ」と題して、各協同組合から取組報告が行われました。
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会・センター事業団の木下史郎氏は、アルコール依存症が原因で家族との関係や仕事を失った自身の経験を振り返って「人間の地獄とは社会的孤立」とし、生活困窮者自立支援事業や清掃事業を通じて誰もがともに働き、安心して生きていくことのできる地域づくりを目指すワーカーズコープの取り組みを語りました。
一般社団法人全国労働金庫協会の関山順氏は、格差や非正規雇用の増大などの課題に対して、勤労者のための協同組織金融機関である〈ろうきん〉が実践してきた、金融サービス機能を通じた勤労者サポートの事例について紹介しました。
株式会社地球クラブの髙橋怜一氏からは、SDGsと生協の取り組みとの関連について紹介があり、岩手県野田村・木質バイオマス発電所での森林組合との協同組合間連携の事例を挙げつつ、持続可能な社会づくりに向けて、全国生協の再生可能エネルギー開発と電気小売事業への参入について報告がありました。
ふくしま未来農業協同組合の菅野孝志氏は、協同組合の基本精神に沿い、地域農業振興を軸とした総合的な地域づくりの活動を報告し、最後にJA綱領を紹介しながら人々の暮らしにおける協同組合の存在価値を主張しました。
コーディネーターとして杉浦氏、コメンテーターとして稲場氏も加わり、これらの報告をもとに意見交換が行われ、事業・組織の垣根を越えた協同組合に対する認識強化が図られました。
本集会を通じて、全国の様々な協同組合組織間の更なる連携のもと、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を実現するため協同組合に期待される役割を自覚し、取り組みをすすめていくことが、より一層重要となっていることを参加者一同が改めて共有し、確認しました。
なお当日、5月8日に岩手県釜石市で発生した山林火災に対する募金が実施されました。これは、昨年の「国際協同組合デー」記念中央集会に登壇、東日本大震災からの復興について報告を行った釜石地方森林組合に、たび重なる災害に対する救援活動へのお見舞金として全国森林組合連合会を通じてお渡しするものです。募金総額は84,766円となりました。