2017年3月4-5日に駒沢大学にて、「第12回全国若者・ひきこもり協同実践交流会in東京」が開催されました。主催は若者支援全国協同連絡会(JYCフォーラム)と全国若者・ひきこもり協同実践交流会in東京現地実行委員会。首都圏を中心に73団体が協賛、他にも多くの個人協賛が集まりました。
IYC記念全国協議会の会員団体からも、日本労協連が実行委員会に参加し事務局団体の1つとして企画・運営を担い、全国労働金庫協会、労働者福祉中央協議会が協賛団体となりました。そのほか協賛団体には、会員団体と関連する3団体(生活クラブ共済事業連合生活協同組合連合会、パルシステム生活協同組合連合会、中央ろうきん社会貢献基金)や日本労働組合総連合会も名を連ねました。
東京大会のテーマは「生きづらさに抗して、ともに生きる社会をつくる」。2日間で過去最多の1017人が参加しました。
【大会の経緯と概要】
この交流会は、ひきこもりをはじめとする若者支援に取り組む個人や団体が、交流や学び合いを通して実践力とネットワークを育んでいくために、年に1回開催されています。
ひきこもりの支援者を中心とする学習会から始まり、ひきこもりの当事者や経験者、その家族も参加する交流会へと発展してきました。会を重ねるごとに不登校や発達障害・精神障害などの様々な課題を抱える当事者への支援に取り組む人たちの参加も増えています。
さまざまな若者の困難を議論・共有する中で、ひきこもりの状態から抜け出しても安定した仕事につけない就労の問題や社会との結びつきの「場」としての居場所や活動拠点の必要性など、新たな課題が明らかになってきました。これまでの交流会では、こうした課題解決に向けて制度に頼るだけではなく、社会全体で若者の「社会的孤立」を解決するために力を出し合う必要があることを確認し合ってきました。
「全国若者・ひきこもり協同実践交流会」という名称は、若者が抱く不安や孤立を理解し、若者やその家族、困難を抱える人たちが地域で豊かに暮らしていけるような社会をともに創るための交流の場として、支援者と当事者やその家族が一緒に協同実践を積み重ねていこうという思いが込められています。
【大会内容】
1日目は、若者支援全国協同連絡会(JYCフォーラム)の穴澤義晴事務局長による基調報告「若者とともに社会をつくるとは?」からスタートしました。全体シンポジウムでは、「ともに学び合う実践交流から、ともに創り出す協同実践に向けて」というテーマで不登校・ひきこもり支援、子どもの居場所づくり、社会的貧困・孤立の調査研究をしている3団体から実践報告が行われました。
その後、「多様な居場所」「住まい/生活」、「多世代共生を育む地域づくり」、「発達障害・精神障害」、「不登校・フリースクール」、「ともにはたらく」、「行政支援/官民連携」、「若者の性」の8つのカテゴリーから14のテーマ別の分散会に分かれて、それぞれ基調講演が行われました。
2日目は、前日に引き続き14の分散会に分かれて実践報告と意見交換、交流がおこなわれました。また、会場ではフリンジ企画として参加型のアート・アイディアコラージュ作品を製作(JYCフォーラムのホームページで近日公開予定)。両日とも支援団体等からブース出展があり、出版物や広報新聞の販売、手作り商品、コーヒー等の飲食物も販売され、多くの参加者で賑わいました。
さらに懇親会や後夜祭では音楽イベント、翌6日には関連企画としてホームレスや若年無業者、うつ病、依存症などの当事者が参加する「ダイバーシティ・フットサル・カップ」も開催され、文化やスポーツを通した交流も行われました。
ひきこもりや不登校、貧困や社会的孤立など若者が直面している様々な問題には、日本の協同組合も自立・学習支援や就労支援などの実践を通して、様々な形で取り組んでいます。また、次世代を担う人材を育てるためにも、若者とともに働くことは日本の協同組合にとっても重要な課題となっています。国際的にも、若者の雇用創出において協同組合の役割が注目されています。次回の「第13回全国若者・ひきこもり協同実践交流会」は、2017年12月9-10日に富山県で開催予定です。多くの協同組合からの参加が期待されています。
集会1日目の全体会の様子 |