IYC記念全国協議会は、平成26年度に引き続き、平成27年度も「協同労働型の協同組合のための法制度整備に関する学習会」を開催しました。
学習会の目的は、「協同労働型の協同組合のための法制度整備」に向けて、労働者協同組合(ワーカーズコープ)や「協同労働」について学習し、理解を深めること。平成27年度の学習交流会は、11月18日に埼玉県深谷市にて行われました。当日はJA全中、JA共済連、日本共済協会、生活クラブ共済連、ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパン(WNJ)等から計12人が参加し、深谷市の労働者協同組合(通称「だんらん」グループ)を視察しました。
当地では約30年前、委託を受けていた物流事業の縮小に伴い、労働者協同組合の組合員たちが自ら「とうふ工房」を設立しました。さらに組合員たちは、とうふ作りにおける「おから」の有効活用から高齢者を対象とする配食事業を思い立ち、その事業を通じて地域における介護ニーズの高まりを把握。介護ヘルパー講座を通じてヘルパー仲間(組合員)を増やし、訪問介護事業を開始しました。この訪問介護事業が順調に発展し、通所介護(デイサービス)事業から福祉用具事業、さらに短期入所生活介護(ショートステイ)事業にまで展開。現在の「だんらん」グループは、若者自立支援事業(若者サポートステーション)や生活困窮者自立支援事業をも含む「総合福祉拠点」として、約4億円の事業高と約180人の組合員を擁しています。
当日は、上記の「とうふ工房」や介護事業所等を視察。各事業所の所長との懇談では、各事業を設立・運営していく具体的なプロセス、地域コミュニティーや自治体への地道な働きかけ、事業を通じた「まちづくり」等について、苦楽を交えた体験談を伺いました。とりわけ参加者からは、「協同労働」による「仕事おこし」が常に地域のニーズに応えること、地域コミュニティーの諸課題を解決することを最重要視している点について、賛同や感嘆の声が聞かれました。このように「協同労働」の実践や、それを通じた「まちづくり」の具体例を学ぶことにより、「協同労働型の協同組合のための法制度」を整備する必要性を改めて認識することができました。