IYC記念全国協議会の会員であるJA共済連、全労済、コープ共済連、共栄火災をはじめ、世界70か国226団体が加盟する国際協同組合保険連合(ICMIF)の総会が10月6日から9日まで、アメリカ・ミネアポリスで開催されました。
ICMIF(1922年設立)は、1895年に創設された国際協同組合同盟(ICA)の専門機関のひとつであり、会員への情報や各種サービスの提供等を通じて、世界の協同組合保険組織の発展に貢献しています。
今回の総会は、ICMIF会員団体のCEOをはじめ、国連事務総長特別補佐や保険監督者国際機構(IAIS)、ユニセフ等の国際機関からの出席者を含め、35か国から300名以上が参加しました。初日の年次総会に続いて開催された3日間の会議では、「ICMIF会員は単なる保険事業者ではありません」を全体テーマに様々な講演やパネルディスカッションが行われ、会員団体の活動事例や課題の共有化が行われました。
協同組合セクターは、国連が2015年9月に制定した持続可能な開発目標(SDGs)や国連国際防災戦略事務局の活動とも目標を共有しており、「減災への取り組み」や「環境配慮型投資」といった実例を交えながら、協同組合保険組織が持続可能な社会づくりにどう貢献できるかを討議しました。
また、先進国か発展途上国かを問わず、急激な進化を遂げている「デジタル化」や、既存の契約者層とは異なる消費行動や選好を持つ「若年層」への対応が急務となっています。デジタル技術を有効に活用できるように事業構造の変革を急ぎ、また様々なニーズに応えることができるように商品開発のスピードを速めるとともに、事業の根底にある協同組合保険事業の価値や理念が、いかに組合員や地域社会に役立っているかを、広く社会全体に分かり易く示していくことが重要であることを確認しました。
国連国際防災戦略事務局が議長を務めた「真価が問われる重要な瞬間」と題されたセッションには、ユニセフやICMIF会員団体のCEOらとともに、全労済の中世古理事長が登壇しました。中世古理事長は、全労済の阪神淡路大震災や東日本大震災における契約者対応、全労済グループや日生協等で全国から約2,483万の個人署名と73,337の団体署名を集め「被災者生活再建支援法」制定を実現させた活動、および災害に対する認識や備えの向上に向けた防災への取組事例を紹介。セッションのとりまとめには、「真価が問われるのは災害が発生する“瞬間”ではなく、災害前の日常の中でいかに組合員の意識を高め、備えられるかが重要である」という中世古理事長の発言が引用され、国際的な場面における日本の協同組合のアピールに大いにつながりました。
また、3日間を締めくくる最後のセッションでは、JA共済連の勝瑞理事長がパネリストとして登壇し、国連事務総長特別補佐や保険監督者国際機構からの参加者らとともに「新しい世界に貢献する」をテーマに討論しました。勝瑞理事長は、東日本大震災におけるJA共済の対応として、67万件・9,343億円を超える共済金をお支払いしたことや、損保も含めた日本全体の保険金支払総額の約43%をJA共済が単体で支払ったことなどを説明し、「自らも被災者であるJA職員が、損害調査や被災組合員への対応で非常に大きな役割を果たした。地域に根ざした協同組合の力が如何なく発揮された」と語ると、会場から大きな拍手が沸き起こりました。
10月8日には、ICMIFアジア・オセアニア協会(AOA)の総会が開催されました。この総会では活動計画や予算が承認されるとともに、役員の改選が行われ、JA共済連の勝瑞理事長が会長に選任されるとともに、JA共済連が事務局に指名されました。
3日間の総会を終えて、協同組合を取り巻く課題の多くは、先進国か発展途上国か、団体が大規模か小規模かに関わらず同じであるということが、参加者全員の共通認識となりました。これらの課題に取り組んでいる世界の仲間達と情報や課題を共有し、単なる保険事業者ではない協同組合保険組織として、将来に向かって果敢にチャレンジしていくことを誓って閉会となりました。
中世古全労済理事長(右から3人目) | 勝瑞理事長(右から2人目) |
マルガレータ国連事務総長特別補佐 | 総会の様子 |
ICMIF総会の映像(日本語版)はこちら
ICMIFに加盟する日本の団体 | ||
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日本コープ共済生活協同組合連合会 | 全国共済農業協同組合連合会 | |
日本再共済生活協同組合連合会 | 全国共済水産業協同組合連合会 | |
共栄火災海上保険株式会社 | 日本共済協会(オブザーバー会員) | |
全日本火災共済協同組合連合会 | JA共済総合研究所(オブザーバー会員) | |
全国労働者共済生活協同組合連合会 |