2012年11月28日(水)、神戸国際会議場メインホールで、国際協同組合同盟アジア太平洋地域(ICA-AP)、日本協同組合連絡協議会(JJC)、2012国際協同組合年(IYC)全国実行委員会共催の下、「協同組合は安心な社会を築く」をテーマに、協同組合フォーラムが開催されました。本フォーラムは、ICA-AP地域総会の開催と併せて開催され、18カ国から約500人が参加しました。
ICA-AP地域総会・協同組合フォーラム合同開会式の後、渡部正樹氏(国連人道問題調整事務所(UNOCHA)日本神戸事務所長)より、「災害時における市民社会の役割」と題して、基調講演が行われました。国連の災害対応について報告するとともに、アジア地域での自然災害の多さとその対策整備の必要性を強調し、「自然災害は完全に防ぐことはできない。日頃からの備えや地域社会の実情をつかみ、防災から減災へのシフトが必要。また災害復興時の仕事場所や就労創出は必須の課題。その際、地域社会に深く関与している協同組合の役割は重要」と期待を表明しました。
続いて、日本国内より、貝原俊民氏(公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構特別顧問・前兵庫県知事)による特別報告「大災害にみる共生の思想」、谷口肇氏(JJC幹事長・JA全中常務理事)による報告「復旧・復興に向けた日本の協同組合の取り組み」、清水修二氏(IYC福島県実行委員会実行委員長・福島大学教授)による報告「福島での原発事故の現状と課題」が行われました。
また、海外からの報告として、タイ、スリランカ、インドネシア、フィリピンから、甚大な被害に見舞われた水害や津波被害の実態と、その中で協同組合が果たした役割について報告が行われました。地域ニーズを捉えた協同組合の存在は復興に欠かせないものであり、自然災害が頻発しているアジア地域ではICA-AP独自の災害時対応基金が必要ではないかとの提案も行われました。
その後のパネルディスカッションでは、ポーリン・グリーンICA会長が議長を務め、「協同組合はコミュニティにおいて災害に対する対応能力を強化するために何をすべきか」について意見交換がなされ、地域内だけでなく国を越えた協同組合間の協同の必要性や、政府や様々な組織との連携の必要性などについての意見が出されました。
最後に、内橋克人氏(経済評論家・IYC全国実行委員会代表)による特別講演が行われ、「今一度『よりよい社会』とはどういうことか深めてほしい。協同組合はその使命を軸に人々が集った使命共同体だ。災害や社会的な困難に対し、個々の組合員が自分たちの役割を共有してほしい」と提起しました。
本フォーラムでは、「災害時における協同組合の役割」に関する決議案が提案され、翌日29日のICA-AP地域総会で採択されました。決議文は、記事下のリンクからご覧いただけます。
多くの国々が今日、自然災害を経験しており、自然災害は世界的な問題となっています。アジア地域だけでなく、世界全体で、災害対応から復興の過程で協同組合が果たすべき役割を考えていくことが重要です。
*フォーラム決議文(英文)はこちら
*フォーラム決議文(和文)はこちら