「2012国際協同組合年」山形県実行委員会(JAグループ山形や山形県生協連など県内九つの協同組合・団体)等では、2012年9月15日(土)に山形県民会館でミュージカル「おもひでぽろぽろ」公演を開催、約1,200人が「協同の心」や絆の大切さ、温かさに触れました。
ミュージカルは、「結(ゆい)」と呼ばれる協同の精神が息づく農村で、都会の生活に疲れた一人の若い女性が、次第に人間性を取り戻していく姿を描いたアニメ映画を舞台化したもので、劇団「わらび座」が創立60周年記念作品として上演しました。
地元、山形市高瀬地区を舞台とした作品だけに、訪れた人たちはより親近感をもってミュージカルの世界に浸っていました。
2012年9月13日(木)、「福島の現状と課題」をテーマとする学習交流会を開催し、約80名が参加しました。
福島大学・小山良太准教授の基調講演の後、各団体から現状と課題についての報告が行われました。
<小山准教授の講演要旨>
福島県農業における被害は大きく分けて、(1)フローの損害(農業生産額)、(2)ストックの損害(農地・施設)、(3)社会関係資本(地域ブランド、共同体)の3つあり、(3)の被害が地域社会の根本を破壊する一番甚大な被害である。現在は、適切な放射性物質含有量の情報が消費者に届いておらず、「風評被害」が生じている。
このため、正確な検査・流通体制を取り、適切な情報提供を消費者に行う必要があり、生産段階での汚染状況の確認体制を早急につくるとともに、検査等に関する法的根拠策定が求められる。これに先立ち、農協や生協など協同組合で協力し、一部の地域で汚染マップ作成に取り組んでいるところもある。
また、プルトニウム、ストロンチウムなど他の放射性核種についても調査することが必要である。
続いて、被災地で奮闘する各団体から、復興に向けた取り組み報告がありました。
2012年8月19日(日)、秋田市にぎわい交流館において、県内の11協同組合の共催による「協同組合フェスティバル in あきた」を開催しました。
このフェスティバルは、2012年の協同組合年にあたり、一般市民の方にも協同組合についての理解を深めてもらうことを目的に開催。当日は気温30度を超える猛暑にもかかわらず日曜日ということもあり、多くの家族連れなどで賑わいました。
オープニングセレモニーでは秋田県農業協同組合中央会の木村一男会長と秋田県生活協同組合連合会の大川功会長が主催者を代表して挨拶、続いて各協同組合代表者によるテープカットがありました。
会場のステージでは落語家の桂三若さんの軽快な司会で地元キャラクターショーや民謡ショー、抽選会などのアトラクションでフェスティバルを盛り上げました。
また、各協同組合がそれぞれに企画したPRブースで活動紹介チラシの展示、試食、無料サンプルの配布などもあり、理解を深めてもらえる良い機会となりました。
岩手県生協連・いわて生協、JA岩手県5連、県漁連、県森連、全労済、中小企業中央会など、県内の24団体などで構成する「2012国際協同組合年岩手県実行委員会」は、2012年7月2日(月)、岩手県産業会館において「2012国際協同組合年 岩手県シンポジウム」を「協同組合の源流を探る」をテーマとして開催、各団体の関係者たちで240人を超える参加がありました。
今年は、国連が定めた「国際協同組合年」であるとともに、協同組合運動に大きな足跡を残した賀川豊彦が、神戸のスラム街で救民活動を始めてから100年、盛岡出身の新渡戸稲造が協同組合運動を起こしてから80年という記念すべき年でもあることから、協同組合の基本的な価値と役割を再認識するため、講師には、加山久夫・賀川豊彦記念松沢資料館館長と内川頴一郎・新渡戸稲造基金理事長による講演を開催しました。
加山氏は、「賀川豊彦は、下からの社会運動を重視し相互扶助の社会をめざし、社会主義と資本主義を超えた第3の道として協同組合主義を唱え、運動体と事業を分離してはならないと主張しました」と足跡を紹介、また、協同組合のあるべき姿として、「協同組合の指導者、組合員などがどの程度深く壮大な理念運動としての協同組合を理解し、自覚しうるかが問題。協同組合が変われば社会は変わる。そのためには、変えるべきものを変え、変えてはならないものを守る勇気が必要である」と結びました。
内川氏は、盛岡出身の新渡戸稲造が協同組合運動を起こしてから80年の節目であること、新渡戸稲造が岩手の産業組合運動(協同組合運動)に取り組んだ歴史や、東京医療利用組合(現「中野組合病院」)の設立において賀川豊彦と尽力して取り組んだことなどを披露しました。
最後に、生協・漁協・森林組合・JA から、東日本大震災の復旧・復興支援の取り組みを報告しました。
加山氏の講演 |
「七夕の日に心をつなぐ国際協同組合デー」と銘打ち、2012国際協同組合年山形県実行委員会によるキックオフイベントを2012年7月7日(土)、山形市の山形国際交流プラザで開きました。
実行委員会の構成団体である、山形県農業協同組合中央会、山形県生活協同組合連合会、山形県森林組合連合会、山形県漁業協同組合、山形県中小企業団体中央会、山形県信用金庫協会、山形県信用組合協会、東北労働金庫山形県本部、全労済山形県本部から310人が参加しました。
主催者を代表して山形県農業協同組合中央会・長澤豊会長が「東日本大震災では協同の精神とネットワークが支援に生かされた。このイベントを機に協同組合間の連携をさらに強めていこう」、来賓の吉村美栄子山形県知事より「本日は、日ごろの枠を越えて、多種多様な協同組合が一同に会しています。あらたな連携が広がることを期待します」とのご挨拶がありました。
続いて、2012年が協同組合年になった経緯の報告があった後、メインイベント企画である国際協同組合年のロゴと九つの協同組合名を刻んだ「2012国際協同組合年モニュメント」の除幕式を、来賓の吉村県知事と9協同組合の代表で行いました。このモニュメントは、各構成団体でこれから行われるイベント等において、国際協同組合年のシンボルとして使う予定です。
また、山形県生活協同組合連合会の廣部公子理事より「協同組合があらゆる人々の経済社会開発の参加を促し、貧困の根絶に寄与すると国際的に認められ、社会の安定と持続的発展に貢献できる事業体として注目されている」とするアピール宣言を行い、協同組合の発展・拡大を通じて、心豊かに暮らしやすい、そして明るい山形県づくりに貢献していくことを宣言しました。
第2部では、二宮金次郎(尊徳)から数えて7代目の中桐万里子さんが「二宮尊徳の農村再建に学ぶ ~日本の協同組合の歴史を探る~ 」と題した講演がありました。
二宮が唱え実践した報徳とは、見返りを求めるギブ&テイクではなく、恩返しをするテイク&ギブの思想である。
飢饉で食べるものもあまりなく、各地で一揆が起っていた時代に、人々が自力で助け合って、暮らしと村を再建させた尊徳の報徳思想は、「“弱いもの同士が助け合って幸せな暮らしと社会を築く”という相互扶助の考え方であり、今日の協同組合の原点ともいえるものである」とその足跡を語りました。
2011年12月21日(水)、岩手県産業会館において、いわて生協など7生協、JA岩手県五連(県中央会・県信連・県厚生連・県共済連岩手・全農いわて)、県漁連、県森連、全労済、中小企業中央会など、県内の24団体と学識経験者(3名)による「2012国際協同組合年岩手県実行委員会」の設立総会を開催しました。
総会では、同委員会の規約、役員、予算、事業計画などを確認し、設立宣言「支え合いと活気のある社会をつくる」を採択しました。
実行委員会は、(1)協同組合間の連携強化を図りながら、協同組合の価値、役割を広く発信、(2)シンポジウム(7月)や公演(9月)などを開催、(3)東日本大震災に伴う被災地の農林水産物の購入運動や学習活動などに取り組むことにしています。
また、設立を記念して、関西大学商学部の杉本貴志教授より「国際協同組合年を迎えるにあたって~日本・東北そして岩手の協同組合に何が期待されているのか~」と題した講演がありました。
【講演の骨子】
○いま、協同組合がおかれている状況
○「協同」を考える原点
○オウエン主義者のコミュニティづくり
○なぜ、ロッジデールの店舗は成功したのか
○その後の生協が忘れたもの(コミュニティの問題)
○社会的責任を果たすものを売るイギリスの生協
○イギリスの教訓から、日本の生協が考えなければならないこと
○現実をふまえて、協同組合としてできること
▽実行委員会委員長:JA岩手県中央会 田沼征彦会長
▽ 〃 副委員長:岩手県生協連 加藤善正会長理事
2011年12月12日(月)、山形県建設会館で9団体(農業協同組合中央会・生活協同組合連合会・森林組合連合会・漁業協同組合・中小企業団体中央会・信用金庫協会・信用組合協会・東北労働金庫山形県本部・全労済山形県本部)による設立会議が開催され、「国際協同組合年 山形県実行委員会」が設立されました。
会議では、山形県農業協同組合中央会の今田正夫会長の挨拶の後、(1)設置要領、(2)行動計画、(3)知事要請事項について協議し全てが承認されました。その後、各団体より自己紹介を含め、協同組合年に向けた取り組みの交流が行われました。
会議の後、出席者全員が県庁に赴き今田会長が、吉村美栄子県知事に(1)「協同組合の育成・発展のための事業展開、(2)広報誌などによる国際協同組合年の県民への周知を要請しました。
また、2012年7 月に開催予定の「協同組合年山形県フォーラム」へのご出席や、協同組合年記念のミュージカル「おもひでぽろぽろ」の後援などをお願いしました。
吉村知事は、「できる限りの協力を行います。山形県の発展のために共に力を合わせましょう」と述べました。
福島県内のJA・漁協・森林組合・生協で組織する「地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会」(略称:地産地消ふくしまネット)では、「福島応援隊」の取組を行っています。これは、東京電力福島第一原発事故による農産物への被害・風評被害で苦しむ果樹農家を応援するために、福島の果物を食べ、贈ることで生産者を応援していくものです。
2011年夏は、「『福島応援隊』福島の桃を贈ろう!」を展開し、全国38都道府県から利用があり、1,257ケースを販売しました。収益の一部(445,075円)は震災復興の義援金として福島県に贈呈しました。
ただし、原発事故の影響は今も続き、放射性物質汚染による伊達市名産の「あんぽ柿」の生産自粛などの被害をはじめ、風評被害などにより、福島の農産物生産者は窮地に追い込まれています。そこで11月から12月中旬にかけて、「福島応援隊」第二弾を行いました。今回は福島のりんご、会津の「みしらず柿」、伊達の桃のジュースが対象です。ギフト依頼者やお届け先へは、オリジナルグッズとして「福島応援隊」サポーターズカードや応援隊ステッカーが進呈されました。
宮城県では、地域の産業復興を目的に、生協・農協・漁協・食品関連産業者により「食のみやぎ復興ネットワーク」を2011年7月2日に結成し、商品づくりや商品利用を広げる取組を実施しています。
「みんなの新しいふるさとづくりプロジェクト(みんなの仙台白菜物語プロジェクト)」は、全農みやぎとみやぎ生協による東日本大震災復興、園芸振興プロジェクトで、宮城県内各地の農協で、塩害に比較的強く、さらに8月から作付け可能な「仙台白菜」の作付けを依頼し、栽培・販売・消費を図る取組です。
11月3日には、みやぎ生協幸町店(仙台市)で、仙台白菜の販売を行いました。この日販売したのは、8月中旬に宮城県内の13農協で作付けし、初収穫を迎えた仙台白菜200kg。みやぎ生協、JA全農みやぎのほか、仙台白菜の栽培などに関わっている宮城県農業高校や明成高校の生徒、「食のみやぎ復興ネットワーク」にご協力いただいているメーカーの方々が店頭に立ち、来店者に試食を提供しながら仙台白菜をおすすめしました。
2011年10月6日(木)、道内の協同組合など15団体の共催で、IYCプレ北海道集会が開催され、120人が参加しました。「フィンランドでの協同組合の紹介と日本への期待」というテーマで、フィンランド生協連合会(SOK)のアンネ・サンタマキ氏が記念講演を行いました。
フィンランドの人口約534万人に対して、SOKグループの組合員数は約200万人にのぼります。業態も、スーパーマーケット・旅行・農業関連製品・銀行サービスなど、多岐にわたります。特に、組合員証でありクレジット機能を持つS-Etukorttiカードについて紹介されました。
宮城県協同組合こんわ会(構成団体:宮城県農協中央会・森林連・生協連・日専連・漁連)では、2011年7月2日(土)にJAビルにおいて、委員総会を開催しました。
総会では活動報告や予算のほか、東日本大震災からの復興をめざす共同宣言について決定しました。
共同宣言では主に4つのポイントが述べられています。
2011年7月2日(土)の国際協同組合デーに、「地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会」の主催で、「国際協同組合デー『絆で復興!ふくしまSTYLE』-2012国際協同組合年福島県実行委員会発足に向けて-」が開催され、約120人が参加しました。
2012国際協同組合年に向けて、福島ではこの協議会で検討を進めてきましたが、県の生協連・森連・漁連・JAグループが呼びかけ人となって、福島県の実行委員会を設置することとなり、この日のフォーラムを参加呼びかけのキックオフと位置づけました。
フォーラムでは東日本大震災で犠牲となられた方に黙祷を捧げた後、呼びかけ人代表の挨拶や国際協同組合年に関する報告がありました。
その後、基調講演として、福島大学協同組合ネットワーク研究所の高瀬雅男氏から「国際協同組合年と地産地消ネット・研究所の取り組みについて」、また同研究所の小山良太氏から「東日本大震災・原発事故からの復興に向けた取り組みについて」と題した講演がありました。