JCAの今年の10大ニュース 豪雨災害支援の「ボランティアバス協同組合号」などを選びました。
日本協同組合連携機構(JCA)は、2018年4月に発足し、2年目を迎えました。今年2019年の協同組合連携やJCAに関わる出来事から、10大ニュースを選びました。(選定:JCA協同組合連携部)
- 「ボランティアバス協同組合号」が栃木県の被災地支援へ
- JCA監修『1時間でよくわかる協同組合とSDGs』(家の光協会)が出版
- 政府「SDGs実施指針改定案(骨子)」で協同組合について記述
- JCAの「食育ソムリエ養成講座」の認定者3000名を突破
- ブックレット『移住者による継業~農山村をつなぐバトンリレー』(筑波書房)が第34回農業ジャーナリスト賞を受賞
- 協同組合フォーラム第1回会合が初開催
- 「協同組合の地域共生フォーラム」が初開催
- 新しいテーマである「プラットフォーム協同組合主義」についてシンポジウム開催
- 令和元年度JCAシンポジウム「地方創生の新たな方向〜農村の現場から〜」開催
- 国際協同組合同盟(ICA)のアリエル・グアルコ会長らが初来日
1. 「ボランティアバス協同組合号」が栃木県の被災地支援へ
11月24日(日)、様々な協同組合全国組織や支援団体などが参加した「ボランティアバス協同組合号」が、台風第19号で被災した栃木県佐野市に入り、被災地支援を実施。これは、日本生協連の提案を受け、JCAとして協同組合全国組織に幅広く参加を呼びかけ実現したもの。当日は、本田英一・日本生協連会長(JCA副会長)をはじめ11団体24名が参加、家屋の片づけなどを行なった。
2. JCA監修『1時間でよくわかる協同組合とSDGs』(家の光協会)が出版
本書は、SDGsとは何か、どうすれば取り組めるかなど、初心者でも読めるよう工夫している。個人や家庭、職場や学校のグループワークでの学習にも活用できるよう、チェックシートやワークシートを入れ、各地の協同組合の実践事例も紹介。
12月15日付け読売新聞でも紹介された。
3. 政府「SDGs実施指針改定案(骨子)」で協同組合について記述
11月8日に発表された政府の「SDGs実施指針改定案(骨子)」では、「新しい公共」として「協同組合をはじめ、地域の住民が共助の精神で参加する公共的な活動を担う民間主体が、各地域に山積する課題の解決に向けて、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生し、SDGsへ貢献していくことが期待される」などで触れられた。(下線はJCA)
4. JCAの「食育ソムリエ養成講座」の認定者3000名を突破
同講座は通信制で、農産物直売所やファーマーズマーケットにおいて、農産物に関わる幅広い知識と発信力を持ち、生産者と消費者の架け橋となる「食」と「農」のプロの育成をめざすもの。従業員コースと生産者コースがある。2005年の食育基本法制定を機にスタート、2019年で認定者は3096名となった。
また、同講座について、台湾政府の行政院農業委員会・農糧署が関心を持っており、現在、JCAと台湾側の窓口機関との間で協力について話し合いを行なっている。
5. ブックレット『移住者による継業~農山村をつなぐバトンリレー』(筑波書房)が第34回農業ジャーナリスト賞を受賞
同書はJCA研究ブックレット(旧JC総研ブックレット)シリーズNo.22として、2018年4月に刊行。筒井一伸・尾原浩子著、図司直也監修。世襲ではなく移住者らが事業を引き継ぐ「継業」が広がっている。地域の多様な組織が関わり、小規模でも様々な革新性を持ちながら引き継ぐ「継業」の背景や現場での様子、取り組みポイントを紹介している。
同書は、農政ジャーナリストの会が主催する第34回農業ジャーナリスト賞を受賞した(2019年6月)。
6. 協同組合フォーラム第1回会合が初開催
11月25日、協同組合全国組織の代表者等25団体48名出席のもと初開催。会合では、本年度の代表をJCA代表理事会長の中家徹JA全中会長、副代表をJCA代表理事副会長の本田英一日本生協連代表理事会長に選出。今年JCAに2号会員として加入した全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、全国中小企業団体中央会から団体の紹介、今秋の台風・豪雨被害支援についてJA全中、日本生協連、JF全漁連、JForest全森連、日本労協連から報告があり、今後に向け意見交換を行なった。
※同フォーラムは、国際協同組合年記念協同組合全国協議会の活動を本年7月10日にJCAに引き継ぐにあたり、同協議会が培ってきた幅広い協同組合の交流・意見交換の場を継承していくため、同協議会を発展的に改組し発足したもの。
7. 「協同組合の地域共生フォーラム」が初開催
同フォーラムは、9月28日に開催され、医療福祉に関わる協同組合関係者ら約250名が全国から参加。斉藤弥生・大阪大学大学院人間科学研究科教授から「なぜ今、協同組合なのか?」と題する講演の後、パネルディスカッションでは、JA愛知厚生連足助病院、(社福)生活クラブ風の村、ワーカーズコープ・センター事業団松戸地域福祉事業所、南医療生協から実践報告があった。その後の分散会は、6つの会場に分かれ、「居場所づくり」「自立支援」「中山間地の基幹病院」「協同労働」など実践事例の紹介や参加者交流が行われた。
同フォーラムは、医療福祉に関わる協同組合全国組織7団体で実行委員会を構成。また内閣府地方創生推進室、総務省、厚生労働省、日本医師会、全国社会福祉協議会など24団体の後援で開催された。
2020年度は規模を広げ開催の予定。
8. 新しいテーマである「プラットフォーム協同組合主義」についてシンポジウム開催
9月21日、JCAでは「プラットフォーム協同組合主義」の提唱者であるトレバー・ショルツ米国ニュースクール大学准教授の来日にあわせ、東京大学大学院情報学環・水越伸研究室と協力、協同組合関係研究機関の協賛で、シンポジウム「プラットフォーム協同組合主義とはなにか?」を開催。約120名が参加。ショルツ氏は、世界で進むデジタル経済の負の側面を指摘するとともに、その代替案としてのプラットフォーム協同組合主義の特長や各国での実践事例について報告。会場からも熱心に質問が出された。
内容は10月28日付け日経新聞が取り上げた。
詳細はJCA「研究REPORT」(web版)に掲載予定。
9. 令和元年度JCAシンポジウム「地方創生の新たな方向〜農村の現場から〜」開催
同シンポジウムは8月27日、全国の協同組合関係者や研究者など約200名の参加で開催。地方創生の現場の最新の動きに関する研究者の報告と、実践者の発表の両面から、地方創生に至る「プロセス」を解明し、その本質に迫った。総括セッションでは、小田切徳美明治大学農学部教授が、「プロセス視点の地方創生」について論点整理を行なうとともに、登壇者や会場との質疑応答や意見交換を行なった。
このシンポジウムは「都市・農村共生社会創造研究会」(主査:小田切徳美・明治大学教授)の研究成果に基づいたもの。同研究会の総括としてJCAブックレットNo.27『プロセス重視の地方創生~農山村からの展望』を発行(筑波書房)。
10. 国際協同組合同盟(ICA)のアリエル・グアルコ会長らが初来日
7月31日から8月1日にかけ、アリエル・グアルコICA会長(アルゼンチン出身)が、ICAアジア太平洋地域事務所のバル・アイヤー事務局長らとともに初来日。日本のICA会員(JA全中、日本生協連、日本労協連など17団体)との意見交換、厚生労働省、農林水産省を表敬訪問しました。また、都内のJA、生協、労働者協同組合の現場視察を精力的に行った。