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農業構造変動の地域分析 —2010年センサス分析と地域の実態調査

農業構造変動の地域分析 —2010年センサス分析と地域の実態調査

安藤光義 編著 定価2,800円(+税) A5判上製/312ページ 

 センサスだけでは農業・農村・農家の実像がわからなくなった!センサスの限界を補い、統計の背後にある実態に迫るべく、全国各地域の現地実態調査を織り込んだ、画期的センサス分析。 
 農業脆弱化の一層の深化か、構造再編の進展か。2010年センサスは後者を期待させる結果のようにもみえるが、本当のところは分からない。センサスの数字はあくまで集計量であり、個々の農家や農業経営体が置かれている具体的な状況はブラックボックスになっているからである。2010年センサスは集落営農の設立の影響を大きく受けたが、その肝心の集落営農を把握する調査になっていないことが、それに拍車をかけている。センサスの数字の正確な判断のために現地実態調査が必要なのはそれゆえである(本書序章より)。

【目次】 
序章 2010年農業センサスの分析視点——農業脆弱化の深化か、構造再編の進展か
1.はじめに
2.農業脆弱化の深化―担い手の減少・質的劣化
3.構造再編の進展―農地面積減少の鈍化、上層農への農地集積の進展
4.おわりに―構造変動進展地域の実態調査の必要性

◆第1部 日本農業全体の趨勢 

第1章 集落営農展開下の農業構造と担い手形成の地域性 
——2010年農業センサスの分析から 
〈要旨〉 
1.はじめに
2.集落営農組織の取扱いと構造分析上の留意点
3.生産主体数と農地利用からみた構造変化の地域性
4.水田農業における農地集積の進展と担い手形成の地域性
5.おわりに

第2章 2010年農林業センサスにおける農業地域類型別の動向 
——地目差と集落調査結果にも触れて 
〈要旨〉
1.はじめに
2.農業経営体調査の農業地域類型別の結果
3.農業地域類型別の動向
4.地目別の動向
5.農業集落調査結果の重要点
6.おわりに

◆第2部 各地域の動向 

第3章 北海道における構造変化と大規模協業農業生産法人の展開 
〈要旨〉 
1.はじめに——北海道農業と構造問題
2.北海道農業の主要農業地帯別動向
3.道央水田地帯における構造変化と生産組織の法人化
4.道東畑作地帯における構造変化と協業型農業生産法人の成立
5.おわりに

第4章 東北水田農業の構造変動——急激な農家数減少の内実 
〈要旨〉 
1.本章の課題
2.2000年代後半における東北農業の構造変化の特徴
3.農家数急減の内実——秋田県美郷町A地区における検証
4.2000年代後半における農業法人の展開——秋田県平坦水田地帯の事例
5.考察——事例分析を通じて

第5章 関東農業の構造変化——栃木県水田農業地帯の構造変動 
〈要旨〉
1.はじめに——地域的多様性に富む関東農業と水田農業地帯としての栃木
2.センサスにみる栃木県および調査対象地域の位置
3.那須塩原市黒磯地区
4.芳賀町——農地流動化による規模拡大が進む
5.栃木県の構造変動の到達点と今後の方向

第6章 北陸地域の農業構造変動——農地流動化の進展と農業経営体の展開
〈要旨〉 
1.はじめに
2.北陸農業構造の姿——大規模経営体に農地集積が進む北陸地域
3.石川県における農業構造変動
4.富山県における農業構造変動
5.おわりに

第7章 近畿地域の農業構造変動 
——農業地域類型別にみる農業と集落営農の多様な展開 
〈要旨〉 
1.はじめに
2.近畿地方における農業地域類型の捉え方
3.近畿地方における農業構造の概要
4.近畿地方における集落営農の役割とその実態
5.集落営農を柱とした近畿地方の農業構造の展望
6.集落営農のジレンマ——農業の効率化と非農家化の進行

第8章 中国四国地域における農業構造変化の特徴 
——水田農業における農家以外の農業事業体の動向を中心に 
〈要旨〉
1.はじめに
2.中国四国地域における水田農業の構造変化
3.鳥取県における水田農業構造の変化と農家以外事業体の経営展開
4.おわりに

第9章 九州地域での構造変化と担い手経営の実態
〈要旨〉 
1.本章の課題
2.九州地域での構造変化
3.担い手経営の実態
4.むすび 

終章 2010年農林業センサスにみる農業構造の変化―本書の要約
1.農業構造再編の進行と集落営農
2.集落営農の内実——東北と北九州
3.構造変動の最前線に位置する北陸
4.個別経営の規模拡大も進行——北関東・栃木
5.脆弱化の度合いを増す中山間地域——対策としての集落営農とその「ジレンマ」
6.農地の受け皿としての複数戸法人の設立——北海道