No.33 地域運営組織による子どもの地域福祉 農村への展望
東根 ちよ・筒井 一伸 著/山浦 陽一 監修 定価750円+税 A5版/64ページ
2023年4月に創設された「こども家庭庁」では、「こどもまんなか社会」が目標として掲げられています。これまでは、内閣府、厚生労働省、文部科学省などが縦割りで取り組んできた子どもをめぐる行政事務を「こどもまんなか社会」の旗印のもと集約することが目指されています。
子どもをめぐる問題意識が高まる一方で、これまでの施策だけでは、支援が行き届く子どもが一部に限られ、福祉制度によってカバーしきれない「すき間の子ども」を生み出してしまうという問題は残されたままです。そのすき間に寄り添おうとするNPОやボランティア団体の活動にも限界があり、活動の継続性やオーソライズには課題が残ります。
そのようななか必要になるのが「子どもの地域福祉」という視点です。しかし、これまで「地域社会」はあくまでも行政による子ども福祉の協力者や支援者としての位置づけにあり、地域の主体性が重んじられてきたとは言い難い状況でした。
そこで本書では、これまで議論されてこなかった、RMО(地域運営組織)が軸となり地域社会が主体的に子どもを育んでいる取り組みに着目します。鳥取県南部町の東西町地区の実践を取り上げ、RMОが子どもを育む取り組みをどのように展開しているのか、その内実と特徴について紐解き、地域社会が子どもを育む環境を一から築くためのヒントを明らかにします。
目次
Ⅰ 子どもの地域福祉という視座
Ⅱ 子どもをめぐる困難と子育て支援の課題
Ⅲ 東西町地域振興協議会の組織と運営
Ⅳ 協議会の子どもを育む活動
Ⅴ RMОによる子どもの地域福祉のかたち
〈私の読み方〉子ども地域福祉と地域運営組織の関係(山浦 陽一)