刊行物

No.32 井戸端からはじまる地域再生 暮らしから考える防災と観光

野田 岳仁 著/小田切 徳美 監修  定価750円+税 A5版/64ページ

 「井戸端会議」という言葉が示すように、地域の水場は、かつて人びとの社交場でした。しかし、近代化によって、生活用水の水源は身近な井戸や湧水から、遠くのダムなどから水道管をたどって供給される「上水道システム」にとって変わりました。水とのかかわりが「近い水」から「遠い水」に質的に変化し、水と人との関係だけでなく、地域の人と人のつながりも薄れていくことになったのです。
 近年では、身近な水に対する政策的な再評価によって、井戸や湧き水といった「近い水」を私たちの手に取り戻す動きが急激に増えつつあります。本書では、どうすればすべての人びとが利用しやすく、居心地のよい「公共水場」をつくりあげることができるのかを探りながら、「井戸端」という人のつながりの起点であった地域空間を切り口に、地域再生の方法を考えます。

目次

Ⅰ 公共水場への政策的関心
Ⅱ 長野県松本市による公共水場整備事業
Ⅲ 公共水場の機能と所有意識
Ⅳ 公共水場に対する所有意識と社会的権利
Ⅴ 公共水場を「井戸端」にする方法
〈私の読み方〉「公共水場」論の醍醐味と意義(小田切 徳美)

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