政府の「2030アジェンダの履行に関する自発的国家レビューにおいて、7カ所で「協同組合」について言及されています
2021年7月15日に開催された国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)で、茂木外務大臣と様々なステークホルダーの代表者が、2017年以来2回目となる自発的国家レビュー(VNR:Voluntary National Review)「2030アジェンダの履行に関する自発的国家レビュー2021~ポスト・コロナ時代のSDGs達成へ向けて~」を発表しました。これは、今年9月に予定されている4年に1回のSDGsサミットに向け、日本の取り組みをとりまとめたものです。
JCAではこの自発的国家レビューとりまとめに関して、協同組合が果たしてきた役割や成果について、政府が行ったパブリックコメント等へ意見表明を行ってきました。
最終的に国連へ提出された自発的国家レビューには、協同組合に関して以下のような内容が盛り込まれています。(下線はJCA)
- ステークホルダーに関する記述の中で、政府は引き続いて「新しい公共」のひとつに「協同組合」を位置付けています。
⑤新しい公共
現在、「新しい公共」すなわち、従来の行政機関ではなく、地域の住民や NPO 等が、教育や子育て、まちづくり、防犯・防災、医療・福祉、消費者保護など身近な課題を解決するために活躍している。
協同組合を始め、地域の住民が共助の精神で参加する公共的な活動を担う民間主体が、各地域に山積する課題の解決に向けて、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生し、SDGsへ貢献していくことが期待されている。【事例】第2回ジャパンSDGSアワード副本部長賞(日本生活協同組合連合会)
生協の全国連合会として、2018年に全国の生協がSDGs達成に大きく貢献することを社会的にコミットした「コープSDGs行動宣言」を策定・採択した。行動宣言の採択にあわせ、「日本生協連SDGs取組方針2018」をとりまとめ、様々な取組を実施した。
具体的には、地域、環境、社会、人々に配慮した「エシカル消費」に対応した商品を開発・供給するとともに、こうした商品の利用を組合員に促す活動を全国の生協を通じて行っている。
その他、再生エネルギーの活用やユニセフを通じた子供支援、被災地支援も積極的に実施している。 - 協同組合がSDGsアワードを連続して受賞していることを評価しています。
2017年に開催した第1回「ジャパンSDGsアワード」では、町の基本条例に「持続可能な地域社会の実現」を定め、林業やエネルギー産業といった地域産業を通じて、地域課題に統合的に取り組む北海道下川町をSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞として表彰した。また、「誰一人置き去りにしない」という考えの下、障害者の就労向上を目指す特定非営利活動法人や無駄のない消費を推進する生活協同組合、次世代リーダーの育成に取り組む大学、途上国における手洗い普及活動やマラリア対策等に取り組む企業等も表彰した。 2019年に開催した第3回「ジャパンSDGsアワード」では、商店街として初めて「SDGs宣言」を行い、イベントやサービスを通じて人や環境に優しい活動を実践する福岡県北九州市の魚町商店街振興組合をSDGs推進本部長賞として表彰した。また、SNS投稿を通じてアフリカやアジアの子供たちに給食を届ける市民参加型の取組を行う特定非営利活動法人、海外の難民キャンプにおいて難民・国内避難民の視力支援活動を行う眼鏡メーカー、古着を回収して開発途上国にて再利用すると同時にポリオワクチンを寄付できるビジネスモデルを構築したリサイクル企業、市内全ての公立小・中・特別支援学校においてESDを推進する教育委員会、就学前児童から大人までが一緒になって身近なSDGsに取り組む保育園等も表彰した。 2020年に開催した第4回「ジャパンSDGsアワード」では、再生可能エネルギーを通じた地域間連携の促進に取り組むみんな電力株式会社をSDGs推進本部長賞として表彰した。また、農業を基盤に循環型社会の構築を進める自治体、環境・農業技術開発に取り組む高校、日本とラオスの障害者支援やアフリカ・アジアの元子供兵への自立支援を行うNPO、農業振興、防災・減災、女性活躍の場づくり、地域の多様なパートナーシップの構築を進める農業協同組合等も表彰した。 - 自発的国家レビューにおける円卓会議民間構成員による記述の中では、目標ごとの評価に関して2点記載されています。
〈目標2「飢餓をゼロに」(持続可能な農業)に関して〉
協同組合(農協、漁協、森林組合など)はSDGsの実現を事業や活動の目的に掲げ、地域の活性化、災害や感染症に強い環境づくり、農山漁村の経済活動の維持・発展に取り組んでいる。
〈目標8「働きがいも経済成長も」(ディーセントワーク)に関して〉労働者協同組合法が制定され、脆弱な状況に置かれている人々の就労機会の保障に新たな選択肢を開くことが期待される。
以上
【関連記事】