No.30 農村における農的な暮らし再出発 「農活」集団の形成とその役割
小林 みずき 著 図司 直也 監修 定価750円+税 A5版/62ページ
農村における農家数は全国的に著しく減少しています。2015年農林業センサスによると、1農業集落あたりの非農家数は全体の92.5%を占め、農村地域に暮らしながらも農との接点が無い、もしくは少ない住民が増えているのです。農村地域において、農業を継続させるだけでなく、農地の保全や環境維持を進めるためには、そうした農村住民が「農」とのかかわりを深めることは欠かせない論点であるといえます。
しかし、近年注目を集める「農的な暮らし」は、都市住民の関心やニーズを起点としており、「“農村住民”の農的暮らし」については、その実態が十分に把握されていないのが現状です。
そこで本書では、農村社会において「農」を営みたいとする人々の取り組みを「農活」、農活を支える新たな集合体を「農活集団」と定義したうえで、長野県の3つの事例を通して、農村に居住する人々と農の関係性を明らかにし、農村住民の視点から、農業・農村の振興策を検討します。
目次
Ⅰ 農村住民に「農活」が必要な理由
Ⅱ 定年帰農・就農者による栽培技術の習得と実践―安曇野市烏川体験農場―
Ⅲ 若手居住者による有機農法への挑戦―伊那市長谷さんさん農園―
Ⅳ 加工を起点とした農とのかかわりー安曇野市豊科農産物加工交流センターー
Ⅴ 農活を通じた農村住民の農的な暮らしの再スタート
〈私の読み方〉 「農活」からあぶり出される農村再生の糸口 (図司 直也)