国際連携

2021年国際協同組合デーに寄せて、I LOよりメッセージが発表されました。

 2021年7月3日、第99回国際協同組合デーにあたり、国際労働機関(ILO)はマーサ・ニュートンI LO政策担当事務局次長のメッセージを発表しました。

 2021年国際協同組合デー(7月3日)
マーサ・ニュートン I LO政策担当事務局次長メッセージ 

 本日、ILOは「国際協同組合デー」を国際社会とともに祝えることを嬉しく思います。

 この記念日は、協同組合が果たす役割について認識を深め、相互扶助、自助、連帯という協同組合の価値を促進する機会です。

 歴史的に見ても、これらの価値観は危機的な状況下で特に注目されてきました。世界的なパンデミック下の現在も同様です。

 そのため、今年のテーマ「人間中心で、環境的に適切な復興のための協同組合」は、COVID-19がもたらした課題に直面する私たちにとって、大変時機を得た重要なものです。

 今回のパンデミックでは、協同組合をはじめとする社会的連帯経済組織が、組合員やコミュニティへの支援を強化しました。

 生産者や消費者の協同組合は、不可欠な食料や物資の供給網を維持すると同時に、生産の再ローカル化を進めてきました。

 金融協同組合やエシカルバンク(倫理的な金融)は、ローン返済に苦労している地域の零細・小規模事業者や組合員を支援するための取り組みを行っています。

 医療協同組合は、地方や国の政府と協力し、製品やサービスを変更し、保護具や社会的ケアに対する地元の緊急ニーズに対応しました。

 インフォーマルな労働者の協同組合や社会的連帯経済組織は、真っ先に生活の糧を失った組合員に対して、支援を行い、政府に支援を提言し、仕事を供給しました。

 この間、世界各国の政策立案者は、協同組合やより広義の社会的連帯経済組織が、緊急対応の社会的アクターやパートナーとして果たす役割を認識しています。

 パンデミック後に前進するためには、協同組合もまた、金融支援策の恩恵を受けるべき経済の担い手として認識されることが重要です。

 さらに、より強靭なコミュニティを構築し、地域経済を強化する上で、協同組合は長期的に重要なパートナーとして認識される必要があります。

 公衆衛生上の危機が去った後は、社会や経済を再活性する必要があります。中長期的には、ビジネスやディーセント・ワークを維持するための対策が必要になります。

 雇用を守るために、特に倒産したり、苦境にあえぐ企業を労働者協同組合に再編することが、政府、労働組合運動、使用者組織、協同組合組織にとって活用できる効果的な戦略になっています。

 パンデミック後の新たな状況に適応した、企業の再活性化を支援する際には、相互扶助、経済的な正義、組織的民主主義の価値を統合した、より公平で包摂的な経済に向けた取り組みにおいて、協同組合やより広義の社会的連帯経済が果たす独自の役割を認識することが重要になります。

 協同組合は、これまで100年以上にわたり、ILOの重要なパートナーとして、ディーセントで「人間中心」の仕事アジェンダを達成し、公正で安全かつ包摂的な仕事の未来を目指してきました。世界の協同組合を代表する国際協同組合同盟は、ILOの設立以来、総合諮問資格を有しています。

 来年の第110回ILO総会の一般討議のテーマは、「人間中心の仕事の未来のための社会的連帯経済」であり、協同組合が中心的な役割を果たすことを確信しています。

 ILOでは、人間中心の仕事の未来のために、政労使や協同組合パートナーと引き続き協力していきたいと考えています。力を合わせて、コロナ後のより良い社会を再建していきましょう。

 ありがとうございました。

  ILOウェブサイトでは、メッセージ動画(英語)も視聴することができます。
・2021年国際協同組合デー(7月3日)マーサ・ニュートン I LO政策担当事務局次長メッセージ【ILOウェブサイト(日本語) (英語)