労働者協同組合法の成立にあたって
令和2(2020)年12月4日
一般社団法人 日本協同組合連携機構(JCA)
本日、第203回臨時国会において、労働者協同組合法(以下、労協法)案について、社会的意義、組合運営や労働者保護等に係る留意事項が審議され、全会一致で可決・成立しました。国会や厚生労働省、労協をはじめ関係の皆様の長年にわたるご尽力に深く敬意を表するとともに、農協、生協、漁協、森林組合など協同組合の横断組織であるJCAとしても心から歓迎します。 今後は、労働者協同組合とともに、コロナ禍で脆弱化が一段と進む地域の再生のため、協同組合としての取り組みをさらに広げてまいります。 |
わが国では、分野ごとに農協法や生協法などは存在するものの、労働者協同組合に関わる法律はなく、その法制化は長年の課題となっていました。
労協法の可決・成立は、「組合員が出資し、それぞれの意見を反映して事業を行い、及び自らが事業に従事することを基本原理とする」(法第1条)労働者協同組合に関わる法律を整備するものです。これにより、高齢化や人口減少、脆弱化が進み、さまざまな課題を抱える地域において、課題に応じた事業の取り組みが促進されるとともに、多様な就労の機会が創出されることによって、持続可能な活力ある地域社会の実現につながるものと考えます。
労働者協同組合を想定した活動は、法律が存在しないため他の法人格を活用しながらも、多様な事業を実施しています。協同組合だけでなく自治体や地域の諸団体・個人と連携のもと、介護・福祉や子育て支援をはじめ、生活困窮者や障がい者、若者の就労や生活の支援、農林業の支援など、地域のさまざまな分野に広がっています。
地域のさまざまな課題に取り組むには、それらに適した法人形態を選択できることが重要です。労協法の成立は、その選択肢を増やし、多様化することにつながります。今後の労協法の指針作り等においても、組合自治に基づく役割発揮を保障するものとなるよう期待します。
コロナ禍で、多くの人々が仕事を失い、また生活や健康の不安を抱えています。地域に根ざし食や生活、産業を支える協同組合として、労働者協同組合とも手を携え、地域の再生、元気づくりにさらに努力してまいります。
以上
【関連リンク】
(参考)日本協同組合連携機構(JCA):わが国協同組合の横断組織として、持続可能な地域づくりに向けた協同組合連携の推進、調査研究を進めるため、2018(平成30)年4月発足。代表理事会長は中家徹・JA全中会長、同副会長は本田英一・日本生協連会長。