協同組合法制度研究会より協同組合基本法を制定すべし、との提言をいただきました。提言を公開し、ご意見を募集します。
日本協同組合連携機構(JCA) 代表理事専務 比嘉政浩
<協同組合法制度に関する提言」へのご意見をお待ちしています> 2024年3月6日、協同組合法制度研究会から、JCA理事会に対し、「協同組合法制度に関する提言」(以下、提言)をいただきました。 同研究会は協同組合の研究者の方々を中心に実務者の参加を得て、JCA内部に設けたもので、「協同組合法に係る具体的な法整備の方針(考え方)について整理を行うこと」を主たる目的として、2021年8月17日(火)の第1回研究会から、2024年1月26日(金)まで、のべ16回開催したものです。 提言本文については下枠内のリンクから参照ください。 JCAとしては、寄せられたご意見等を踏まえて、今回の提言に関する今後の取り扱いを検討いたします。また、2025年1月において協同組合法制度シンポジウム(仮称)を開催する予定です。 【提出方法】
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提言への意見について(専用フォーム) 協同組合法制度に関する提言(本文) |
提言のポイントとJCA理事会での議論
この提言は、日本においても協同組合基本法を制定すべし、との内容になっています。また、組織法としての一般協同組合法を設けるべきかどうかについては、同研究会では結論が得られずJCAが検討の場を持つべし、とされています。
JCAとしては、この提言を踏まえてどう対応するかにつき、理事会等で協議いたしました。その結果、各協同組合グループ関係者に対し、同研究会から提言がなされたことやその内容にお伝えし、各協同組合グループ内での議論深化の一助としていただくことといたしました。
協同組合法制度に関する提言
提言は次のように述べています。
- 現代社会における役割を宣言し協同組合の発達を促進するために、新たな協同組合基本法(以下「基本法」)制定が必要である。
- 基本法は「協同組合のアイデンティティに関するICA声明(協同組合の定義・価値・原則)」をベースとして協同組合の基本理念を確認し、日本における協同組合の社会的認知と普及を図ることの重要性を宣言し、国民と国、自治体の努力を明確にする。基本法は理念法、宣言法の性格とし、既存の個別協同組合法に直接の影響を与えないが、その改正にあたっては、理念法の趣旨に基づく必要がある。
- 新たな課題に対応する新たな法人制度が期待される局面が少なくないが、具体的制度(新たな協同組合一般法の制定、既存協同組合制度の活用、社団法人・会社法人の活用など)について明確な結論を得られなかった。今後検討が必要であり、JCAとしての検討スキームの設置を要請する。
提言の解説
提言は①社会に大きな変化(課題の深刻化)が生じており、②これに対処するため協同組合運動の発展が期待され、③それを支援するための制度的枠組みの整備が必要、としたうえ、「協同組合のアイデンティティと現代社会における役割を宣言し協同組合の発達を促進するために、基本法制定の必要がある」としています。
なお、協同組織の弾力的で自由な形成が必要との認識で一致したが、具体的制度、例えば、組合員要件や事業範囲を指定しない新たな協同組合一般法を制定する必要があるか、などについて明確な結論を得られなかった、としています。
提言の補足に述べられていること
なお、補足の部分では、①JCAが発足した、②国連が2025年と国際協同組合年と定めた、③政府のSDGs実施指針には協同組合の必要性と期待が述べられている、④労協法が成立した、ことを指摘し、「これらを協同組合陣営にとって好機と捉えるべき」としています。
以 上