国際連携

ヨルダンで「第11回アジア太平洋地域協同組合閣僚会議」開催

 2024年4月28~30日、ヨルダン・死海にて、国際協同組合同盟アジア太平洋地域(ICA-AP)およびヨルダン協同組合協会の主催により、第11回アジア太平洋地域協同組合閣僚会議が開催されました。テーマは「アジア太平洋(AP)、中東および北アフリカ(MENA)における協同組合の強靭性、持続可能な開発、包摂的な成長のための政府と協同組合のパートナーシップ」で、アジア太平洋地域6カ国の協同組合担当大臣、17ヵ国の政府関係者と同地域の28ヵ国のICA会員団体代表、国際労働機関(ILO)、国連食糧農業機関(FAO)代表ら約300人が参加しました。

 会議は、第1部「AP・MENAにおける政府・協同組合のパートナーシップの現状」、第2部「協同組合のアイデンティティを加速する」、第3部「変化する環境に適応し、強靭さを構築する」、第4部「持続可能な開発目標(SDG1・5・8・13)をすすめる」の4部で構成され、それぞれの部で①協同組合の研究者や関係者、国際機関からの報告、②各国の政府関係者からの報告が行なわれました。最後に、会議で話し合われた内容をとりまとめた「ヨルダン宣言」が採択されました。

 日本からは、厚生労働省社会・援護局地域福祉課消費生活協同組合業務室長と地域福祉課主査、日本生協連から4名、日本労協連から1名、JCAから1名が参加しました。

 日本政府からは、第4部「持続可能な開発目標(SDGs)をすすめる」で、厚労省の小野博史室長が報告を行い、日本の生協の能登半島地震被災地支援、SDGsへの貢献(貧困問題、気候変動対応を例に)、政府の審議会等での役割発揮、労働者協同組合法施行やさまざまな分野での新たな労協の設立、労協のSDGsへの貢献、日本政府として協同組合と連携を強め認知を高めるよう努めていくこと、などについて述べました。

 日本の協同組合からは、同じく第4部で日本生協連の新井副会長がICA-AP女性委員会委員長として、同委員会の活動報告と各国政府関係者に向けてSDG5(ジェンダー平等)を推進する協同組合法制度と政策の整備に関する提言を行いました。また、第2部でJCAの前田健喜部長が、協同組合のアイデンティティに関する日本での取り組みとJCAからの提言について報告しました。

 会議の最後に採択された「ヨルダン宣言」は、その後、各国参加者からのコメントを受け付け、7月6日の国際協同組合デーで発表予定とされています。会議には、パレスチナの協同組合関係者も多く参加し、同地の状況を伝え支援を求めました。ヨルダン宣言には「すべての人の尊厳と自由を確保し、平和と人間性を守ることで、地域および国際社会における安全な環境に向けて努力することを約束する」との文言が盛り込まれる見込みです。

 閣僚会議の機会を捉え、4月29日、CICOPA(ICAの労働者協同組合セクター組織)アジア太平洋地域(CICOPA-AP)の代表を務める日本労協連の中野理事は、パレスチナ自治政府労働大臣兼協同組合運営局(CWA)のビラル・オマー局長及びパレスチナ協同組合総連合会(GCU。農業、住宅、金融、消費生活、労働・生産の5分野の協同組合の連合会)関係者と懇談しました。オマー局長から「利益が労働者に適正に分配される労協がパレスチナでも必要。日本は広島・長崎をはじめ戦争で国が破壊された。ガザも同じ状況。日本が戦災からの復興のなか協同組合をどう発展させたか、パレスチナ復興のため学びたい」と発言があり、中野理事からは世界の労協の現状や日本のワーカーズコープの歴史や取り組みを情報提供しました。

 懇談を踏まえ、GCUやクアランディア女性手工業協同組合がICAやCICOPAへの加盟手続きを進めています。また、CICOPAは現在、中野代表からの提案を受けガザでの戦闘の即時停止を訴える声明を準備しています。日本労協連も、現地の労協やILO等の国際機関と連携しながら義援金の提供や労協設立支援プロジェクト等を準備しています。

ヨルダン王国農業大臣による開会挨拶
報告する厚労省生協業務室小野室長

(写真:日本生協連ウェブサイトより)

日本生協連新井副会長からの報告
JCA前田部長からの報告
パレスチナからの参加者と懇談する日本労協連中野理事

(写真左:日本生協連ウェブサイトより。写真中:日本生協連からご提供いただきました)