JCA・協同組合の2022年の7大ニュースを選定
日本協同組合連携機構(JCA)では、今年のJCAや協同組合に関わる出来事から、2022年の7大ニュースを選びました。
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● 10月1日労働者協同組合法が施行
2022年10月1日、1978年の森林組合法以来44年ぶりとなる新たな協同組合法として労働者協同組合法が施行されました。
本法では労働者協同組合を「組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織」と規定しています。
これまでもNPOや企業組合など既存の制度を活用しながら、介護・福祉や子育て支援、生活困窮者や障がい者、若者の就労や生活の支援、食に関わる事業、物流、施設管理など地域を支えるさまざまな分野で労働者協同組合の実践がすすめられてきましたが、本法の施行により労働者協同組合としての法人化が可能となりました。10月以降各地で法人設立が進んでいます。
JCA中家会長は労働者協同組合法の施行にあたり、9月30日に歓迎の談話を発表しました。
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● 協同組合のアイデンティティ(定義・価値・原則)の学習がすすむ
国際協同組合同盟(International Cooperative Alliance:ICA)では、2021年12月に開催された第33回世界協同組合大会(ICAソウル大会)を機に、協同組合のアイデンティティを、①学び理解し、②組織・事業・活動に活かすとともに、③検証し必要があれば改正するための世界的な協議を開始しました。
これを受けてJCAは2022年度、協同組合のアイデンティティに関する学習を呼びかけ、学習資材の作成と提供を行いました。各地の協同組合でもアイデンティティをテーマにした学習会や研修会が多数開催されています。
● 協同組合間連携で地域課題を話し合う「ラウンドテーブル」がすすむ
JCAでは、異種の協同組合間で地域課題を共有しその解決に向けて一緒にできることを話し合う「ラウンドテーブル」の開催を中期計画(2021-23年度)に位置付け、都道府県連携組織に呼びかけています。
JCAの調査では、これまで14の県域でラウンドテーブルが行われました。異種の協同組合で活動内容や社会的役割を共有し学び合い、地域課題解決へ向けた取り組みにつながっています。
香川県のラウンドテーブルが「第5回都道府県協同組合連携組織 全国交流会議」(2022.11.18)で報告されました。
● “みんなでつくる地域まるごとケアの実現~つながることで広がる可能性~”をテーマに第4回「協同組合の地域共生フォーラム」を開催
JCAでは10月8日、4回目となる「協同組合の地域共生フォーラム」をオンライン開催しました。コメンテーターの斉藤弥生教授(大阪大学大学院人間科学研究科)からは、「政府のトップダウンの仕組みではなくボトムアップ型で地域包括ケアの仕組みづくりを目指しているのが協同組合」と高齢社会を乗り切るカギとして協同組合への期待が述べられました。4つの事例報告の後のグループ交流は、地域での連携強化につながるよう、初めての試みとして、できるだけ近隣地域からの参加者どうしが話し合う形で実施しました。
● 第100回国際協同組合デー、各地でイベント開催
国際協同組合デーは国際連帯と世界平和を願い、協同組合への認知を高め、協同組合運動の思想を広めることを目的に、国際協同組合同盟(ICA)の呼びかけのもと、全世界の協同組合が毎年取り組んでいるものです。1923年に第1回が実施され、今年で第100回を迎えました。
JCAでは7月4日、「協同組合のアイデンティティを学び・活かす」をテーマに第100回国際協同組合デー記念中央集会を開催しました。また、全国23の県域連携組織で国際協同組合デーに関わるイベントが行われています(JCAの集計)。
● 協同組合から初めて政府のSDGs推進円卓会議に参加
JCAの比嘉政浩代表理事専務が、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた政府の「SDGs推進円卓会議」のメンバーとなりました。円卓会議には民間の各分野から15人が参加されており、協同組合からの参加は初めてとなります。
SDGsを達成するためには、あらゆるステークホルダーの参画と協働が求められています。協同組合は貧困や飢餓などの問題に取り組んでおり、国連や政府により重要なステークホルダーの一つとして位置づけられています。
● 協同組合研究誌『にじ』秋号で「戦争と協同組合」を特集
各種協同組合の役職員等を読者対象として、JCAが年4回発行する協同組合研究誌『にじ』の秋号(9月15日発行)で、ロシアによるウクライナ侵攻を受け「戦争と協同組合」を特集しました。
『にじ』2022年秋号は以下からご覧いただけます。
また、JCAでは3月23日にウクライナ侵攻を非難するとともにウクライナの協同組合への連帯と支援を表明する声明を発表しました。