「第4回協同組合の地域共生フォーラム」を開催しました
10月8日(土)、一般社団法人日本協同組合連携機構(第4回協同組合の地域共生フォーラム実行委員会)は、「第4回協同組合の地域共生フォーラム」をオンライン開催しました。“みんなでつくる地域まるごとケアの実現~つながることで広がる可能性~”をテーマに掲げた本年のフォーラムには、協同組合、行政、医療介護、研究者、学生、メディア等から約350名の皆さまにご参加いただきました。(※以下、コメント部分は要約しています)
【前厚生労働大臣からのメッセージ】
当フォーラムへは、前厚生労働大臣で衆議院議員の後藤茂之様からメッセージが寄せられました。後藤議員は協同組合への造詣が深く、10月1日に施行された労働者協同組合法の成立にも尽力されました。メッセージでは、「本フォーラムを通じて、協同組合のみなさまが相互に取組みを学び、それぞれが地域の果たすべき役割について理解を深め、よりよい地域共生社会に寄与されることを期待しています」と協同組合への思いが熱く語っていただきました。
【来賓メッセージ】衆議院議員・前厚生労働大臣 後藤茂之様
【フォーラムの趣旨について】
続いて、斉藤弥生教授(大阪大学大学院人間科学研究科)から、今年のフォーラムの趣旨について説明がありました。斉藤教授には、2019年の第1回目の開催から当フォーラムに関わっていただいています。斉藤先生は冒頭で「政府のトップダウンの仕組みではなく、ボトムアップ型で地域包括ケアの仕組みづくりを目指しているのが協同組合」と高齢社会を乗り切るカギとして協同組合への熱い期待を述べ、「ケアの受け手と担い手の間に入る人たちの存在を考えると、「地域まるごと」、「つながりづくり」に行きつく。本日は4つの事例を聞いて、「つながりづくり」、「地域まるごと」とは何か議論していきたい」と、フォーラムの趣旨を明確にお示しいただきました。
【パネルディスカッション】
4名のパネラーが下記の事例を報告し、コメンテーターの斉藤教授との意見交流でポイントを深めました。
(パネルディスカッションで紹介した事例とパネラー)
事例① | 地域医療を守る「さどひまわりネット」 佐藤 賢治氏 (JA新潟厚生連 佐渡総合病院 病院長) |
事例② | 茨城県みまもりあい推進ネットワーク ~地域住民参加によるみまもりあえる街づくりを目指して~ 井坂 寛氏 (茨城県生活協同組合連合会 専務理事) |
事例③ | コープこうべの「地域つながるミーティング」 冬頭 佐智子氏 (生活協同組合コープこうべ 地域活動推進部 統括部長) |
事例④ | 「地域共生のまちづくり「まちづくり講座」から「みんなのおうち」へ」 船越 聡一郎氏 (「ワーカーズコープ・センター事業団 埼玉事業本部 熊谷・妻沼地域福祉事業所ほほえみ 所長) |
JA新潟厚生連・佐渡総合病院の佐藤病院長は、佐渡島で島民の健康状態、治療状況、介護情報などを一元化して、病院、診療所、薬局、介護施設などで共有する「さどひまわりネット」について、「佐渡島は世界でもっとも高齢化が進んだ地域。さどひまわりネットの仕組みがうまくいけば世界の役に立つというのが我々のモチベーション。このツールを活用していくには使う側である医療・介護関係者の根性が必要」と述べました。
茨城県生協連の井坂専務は、協同組合やNPO等と連携して立ち上げた認知症の高齢者を見守る仕組み「茨城県みまもりあい推進ネットワーク」について、「地域の高齢化問題はどの団体にも共通。地域をお借りし事業展開している生協が呼びかけ、取り組みを進めることで新たな助け合い活動が展開できる」と、地域で協同組合が進める安心して暮らせるまちづくり活動について話を進めました。
生活協同組合コープこうべの冬頭統括部長は、地域つながるミーティングについて、地域住民による対話を通じて、地域課題の解決に取り組んでいることを紹介し、そこから生まれた実践として、兵庫県神崎郡神河町でのコープの宅配を活用した地域高齢者の見守り活動を取り上げ報告しました。
ワーカーズコープ熊谷・妻沼地域福祉事業所ほほえみの船越所長は、「まちづくり講座」から生まれた地域づくりの活動について、「組合員との対話で、地域課題に真正面から向かい合うのは協同組合との意見をいただき、「まちづくり講座」が生まれた。まちづくりは一人一人が主人公とならないと始まらない。今後、スマホ教室や労働者協同組合法の勉強会など開催したい」と展望を語りました。
【グループ交流】
グループ交流は、今回のフォーラムが地域での活動のきっかけになればとの思いから、できる限り同じ県域の参加者で話し合ってもらいました。最後の発表では、参加者から、「斉藤先生からの日本のボランティア活動の類型化の説明で、自分たちの位置づけや担う役割を知ることができた」(和歌山県)、「斉藤先生の話を聞き勇気をもらい自信を持つことができた。自分たちが取り組む住民主体型の活動を発展させていきたい」(島根県)など述べられました。
【まとめ】
最後に、ワーカーズ・コレクティブ ネットワークジャパンの藤井恵理代表が、4つの事例のポイントをまとめ、「いずれも協同組合の第6原則(協同組合間の協同)、第7原則(地域コミュニティの関与)が具現化された内容であった。多様なステークホルダーがつながることで、全国各地で地域まるごとケアが実現できることを祈念している」と述べ、閉会しました。