世界の協同組合が、協同組合運動の発展を祝い、さらなる前進を誓い合う日である「国際協同組合デー」(以下「デー」)は、今年は7月6日(土)です。国際協同組合同盟(ICA)が毎年7月の第1土曜日をデーと定め、1923年に第1回を祝ってから97回目、1995年に国連が国際デーの一つとして認定してから25回目となります。
今年のデーの世界共通スローガンは「協同組合は、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現します」です。このスローガンは2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標8「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を促進する」に依拠するとともに、今年が国際労働機関(ILO)の設立100周年であることも踏まえています。
ILOは、「平和は、社会正義を基礎としてのみ確立する」とし、「不正、困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件」の「改善が急務」として第1次世界大戦後の1919年に設立され、設立当初から人間らしい仕事を実現するための協同組合の役割を高く評価し、協同組合と密接に連携してきました。2002年には全加盟国に対し、協同組合を促進する措置を講じるよう呼びかける第193号勧告を行っています。
利益ではなく人を中心に置き、人々のニーズや願いを実現することを目的として、協同組合原則の第7原則において「地域社会の持続可能な発展のために活動する」ことを掲げる協同組合の目指すものは、SDGsの理念と重なり合います。なかでも、ディーセント・ワークに関し、協同組合は、全世界で生産者組合員、労働者組合員、職員を合わせて2.8億人の仕事を支え、我が国でも、農林漁業者・中小企業者の生業を支えるとともに、仕事おこしや困難を抱える人たちの就労支援、働きやすい職場づくりに取り組んでいます。
今年のデーにあたり、豊かで公正、そして持続可能な社会、そうした社会の不可欠の要素であるディーセント・ワークを実現する協同組合のこれまでの取り組みと期待される役割を改めて認識し、これからも、私たち協同組合が、志を同じくする多くの人たちとともに、力を合わせて取り組んでいくことを、ともに誓い合いましょう。
国際協同組合年記念協同組合全国協議会 代 表
一般社団法人日本協同組合連携機構 代表理事会長
中 家 徹
今年の国際協同組合デー(7月6日)を迎えるにあたり、私たち協同組合は働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現することを宣言します。
今日の、特に若年層における、格差の拡大、不安定化する雇用、高い失業率のなかで、2019年の国際協同組合デーのテーマ「協同組合は、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現します」には、持続可能な開発目標(SDGs)の8番目の目標「包摂的な経済成長およびディーセント・ワーク」に貢献したいという願いが込められています。
そのために、ICAは国際労働機関(ILO)と力を合わせています。私たちは、今年「仕事の未来」を大きく掲げて100周年を祝っているILOと、その設立以来、手を取り合って協力してきました。
最近では、私たちICAとILOの100年に及ぶ友情を再確認し、相互の協力関係を強化して、包摂的で持続可能な開発をすすめる持続可能なビジネスモデルである協同組合を推進するため、新たな覚書を締結しました。
ICAは、「ディーセント・ワークと反ハラスメント宣言」(2018年10月21日ICA総会で採択)において「ディーセント・ワークの基本理念を尊重・推進し、それを支えるためにたゆむことなく行動すること」を宣言しました。私たちはまた、「暴力とハラスメントのない世界」の実現を謳い、協同組合と社会的連帯経済の価値を確認した「ILO100周年記念宣言」(本年6月21日採択)を歓迎します。
協同組合として、私たちは世界の就労人口の10%もの人々の仕事を支えています。さらに、さまざまな研究において、他のセクターにおける雇用に比べて、協同組合における仕事は、長期的により持続可能で、賃金の格差がより小さく、農村と都市の間でより均等に存在している、ということが確認されてきました。
協同組合原則の第2原則「組合員による民主的な管理」に基づき、コミュニティは、民主的な管理のもと協同組合を共同で所有し運営することができ、それによって、誰も取り残さない包摂的で持続可能な成長がもたらされます。人を中心に置く事業体として、また開発の重要な担い手として、協同組合は、働きがいのある人間らしい仕事の創出と地域コミュニティの社会的・経済的な発展のために、重要な役割を果たしています。
2019年7月6日、人間の幸福の増大と社会正義が最も大切にされる未来を、皆で祝いましょう。働きがいのある人間らしい仕事、包摂的で持続可能な仕事をすべての人に。
国際協同組合デーは、よりよい社会を築くために私たち協同組合の皆が果たしている役割に、国際社会全体が目を向けるようにするための、私たちの日です。
人々の運動として、私たちは、人間とそのニーズや願いを第一に置くことで、より公正な経済を築いています。私たちは、働きがいのある人間らしい仕事を創り出すため、私たちが掲げる原則と価値に基づく社会を築いています。
私たちは今、仕事の未来を築いているのです。
国際協同組合デーの成功を祈念します。
国際協同組合デーは、全世界の協同組合員が心を一つにして協同組合運動の発展を祝い、平和とより良い生活を築くために運動の前進を誓いあう日で、毎年7月第1土曜日と定められています。
この国際協同組合デーは、協同組合運動の発展と普及を進める記念日として、当時の国際協同組合同盟(ICA)会長ゴードハート氏が中心となり、1922年10月ドイツ・エッセン市において開催されたICA中央委員会で討議・了承され、翌1923年、第1回国際協同組合デーが世界22力国の組合員によリ祝賀されました。以来、世界各国でさまざまな祝典、講演会、音楽会等の催し・イベントが行われています。また、1995年のICA設立100周年に際し、国連も同日を「協同組合の国際デー」と認定し、各国政府、国際機関及び協同組合組織等に向けメッセージを発信しています。
1895年ロンドンで設立された世界の協同組合の連合組織であり(現在の本部:ブリュッセル)、世界各国の農業、消費者、信用、保険、保健、漁業、林業、労働者、旅行、住宅、エネルギー等あらゆる分野の協同組合の全国組織が加盟しています。2019年4月現在、ICAの加盟組織は109力国309団体、傘下の組合員は世界全体で約12億人であり、世界各国に協同組合運動を広げ、協同組合の価値・原則の普及と協同組合間の国際協力の促進、世界の平和と安全保障への貢献等を目的として、情報発信、国際会議・セミナー等の開催、国連機関等への提言・意思反映活動等に取リ組んでいます。
また、世界最大の非政府組織(NGO)として、国連経済社会理事会(ECOSOC)の諮問機関第1グループに登録され、2002年には国際労働機関(ILO)が「経済社会の発展において、協同組合は世界のどの地域においても極めて重要である。(193号勧告)」と協同組合の役割の重要性を認める勧告を発表しました。このように、協同組合、そしてICAは国際機関からの高い評価を受けています。
ILOは、「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」という信念のもと1919年に創設されました。憲章で協同組合の役割を評価し、国際協同組合同盟(ICA)と正式な関係を結び、1920年に協同組合部をつくり、初代事務局長アルベール・トーマはフランス協同組合運動の主導者で賀川豊彦氏とも会談しています。
ILOは、2002年協同組合の促進勧告(第193号)を採択しました。協同組合は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも取り入れられたディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の達成をめざすパートナーで、今年のILO100周年記念総会に供される「輝かしい未来と仕事」と題する報告書でもその役割に言及されています。
日本では、ILOは協同組合と連携し、今年で10回目となるアフリカ協同組合リーダーの日本研修を実施し、日本生活協同組合連合会の職員にILOの協同組合部門でご活躍いただいています。
「協同組合はディーセント・ワークを実現します」の下、両機関のさらなる連携強化が期待されます。
ILO駐日代表 田口晶子
一般社団法人日本協同組合連携機構(JCA)は、日本国内の各種協同組合の連携や海外協同組合との連携をすすめてきた「日本協同組合連絡協議会(JJC)」(日本のICA会員17団体で構成)の取り組みを引き継ぎ、一般社団法人JC総研を改組し、平成30年4月1日に誕生した組織です。JCAの目的は“協同組合の健全な発展と地域のよりよいくらし・仕事づくりへの貢献”です。このためにJCAは、1「協同組合間連携(推進・支援)」2「政策提言・広報(発信)」3「教育・研究(把握・共有・普及)」の3つの機能を備え、地域・都道府県・全国の各段階における様々な協同組合の間の連携を支援・拡大し、協同組合の力を結集して地域の課題の解決を目指します。
第1号会員(一般社団法人の社員)として協同組合の全国組織19団体、第2号会員にはJA都道府県中央会等、第3号会員には地域の各種協同組合等が加入しています。
国連の2012国際協同組合年(IYC)に向けて2010年から活動してきた2012国際協同組合年(IYC)全国実行委員会は、協同組合の価値や協同組合が現代社会で果たす役割を広く社会に知らせる取り組みや、協同組合運動の発展に向けた取リ組みなど、多様な活動を行いました。
IYC記念全国協議会は、2012IYC全国実行委員会が掲げた目的を継承した、協同組合組織等でつくる協議会です。協同組合の価値や協同組合が果たす役割等について、さらに多くの人々に認知されるように取り組みを行うとともに、異種の協同組合が連携することによって新たな価値を生み出し、協同組合運動を促進する取り組みを行うことを目的としています。
2018年3月31日現在 | |
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組合員数(個人・団体) | 正組合員 4,305千人 准組合員 6,207千人 計 10,511千人 |
単位組合数(総合農協のみ) | 657組合 |
年間販売事業高 | 46,849億円 |
年間購買事業高 | 22,071億円 |
年度末貯金残高 | 1,005,960億円 |
年度末長期共済保有高 | 2,599,574億円 |
年間短期共済契約高(掛金) | 5,032億円 |
月間「家の光」年間平均発行部数 (2018年7~12月期) |
51.1万部 |
「日本農業新聞」発行部数 (2019年4月現在) |
約32万部 |
農協観光事業高 (2017年度) |
716億円 |
厚生連病院数 (2017年3月31日現在) |
108施設 |
年間外来患者数 (2017年3月31日現在) |
17,217,792人 |
年間入院患者数 (2017年3月31日現在) |
9,735,726人 |
2018年3月31日現在 | |
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組合員数(個人・団体) | 1,524,538人 |
単位組合数 | 624組合 |
年間販売事業高 | 391億円 |
年間購買事業高 | 90億円 |
年間森林整備事業高 | 894億円 |
連合会数 | 46連合会(45道府県森連及び全森連) |
連合会販売事業高 | 734億円 |
連合会購買事業高 | 88億円 |
但し書きのあるもの以外は2017年度実績 | |
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組合員数(個人・団体) (2018年12月31日現在) |
正組合員 129,528人 准組合員 152,459人 計 281,987人 |
単位組合数(沿岸出資組合) (2019年3月1日現在) |
934組合 |
年間販売事業高 | 10,838億円 |
年間購買事業高 | 1,606億円 |
年度末貯金残高 | 7,779億円 |
年度末長期共済保有高 | 23,673億円 (共水連データによる) |
年間短期共済契約高 | 24,820億円 (共水連データによる) |
連合会数(都道府県漁連・信漁連) | 59連合会 |
連合会販売高 | 5,234億円 |
連合会購買高 | 813億円 |
連合会貯金残高 | 24,146億円 |
2018年3月31日現在 | |
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組合員数 | 2,873万人 |
購買2,484万人、医療福祉295万人、共済・住宅等95万人 | |
単位組合数 | 549組合 |
購買431組合、医療福祉105組合、共済・住宅等13組合 | |
年間総事業高 | 35,065億円 |
2018年5月31日現在 | |
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会員数 | 58会員 |
保有契約高 | 7,583,152億円 |
受入共済掛金 | 5,790億円 |
支払共済金 | 3,112億円 |
(全労済ファクトブック2018年版)
2018年3月31日現在 | |
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組合員数 | 6万人 |
就労組合員数 | 1万4千人 |
加盟組織数 | 25団体 |
年間事業高 | 329億円 |
2017年3月31日現在 | |
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組合員数 | 8,021人 |
単位組合数 | 340団体 |
連合会数 | 10連合会 |
年間事業高 | 約124億円 |
組合員数 (2018年9月現在) |
1,562,324人 |
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単位組合数 (2018年12月現在) |
215会員 |
年間総事業高 (2017年度) |
1,845億円 |
学生総合共済 (2018年9月現在) |
736,030人 |
2018年3月31日現在 | |
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金庫数 | 13金庫 |
団体会員数 | 51,845会員 |
間接構成員数 | 11,077千人 |
店舗数 | 627店舗 |
預金残高(譲渡性預金を含む) | 19兆7257億円 |
貸出金残高 | 12兆7454億円 |
自己資本比率 | 10.54% |
2018年3月末時点 | |
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事業協同組合数 | 28,427組合 |
事業協同小組合数 | 4組合 |
信用協同組合数 | 148組合 |
協同組合連合会数 | 627組合 |
企業組合数 | 1,752組合 |
協業組合数 | 741組合 |
商工組合数 | 1,155組合 |
商工組合連合会数 | 50組合 |
商店街振興組合数 | 2,490組合 |
商店街振興組合連合会数 | 113組合 |
生活衛生同業組合数 | 572組合 |
生活衛生同業組合連合会数 | 16組合 |
生活衛生同業小組合数 | 3組合 |
2018年3月31日現在 | |
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信用金庫数 | 261金庫 |
店舗数 | 7,347店舗 |
会員数 | 9,242,088人 |
預金積金 | 1,409,771億円 |
貸出金 | 709,634億円 |
自己資本比率 | 12.51% |
2018年3月31日現在 | |
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信用組合数 | 148組合 |
店舗数 | 1,656店舗 |
組合員数 | 3,952千人 |
預金積金 | 203,398億円 |
貸出金 | 110,679億円 |
自己資本比率 | 11.58% |
注:共済金額には自動車共済・自賠償共済等を含まない | |
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団体数 | 2,586団体 |
組合員数 | 7,736万人 |
共済金額 | 8,724,008億円 |
受入共済掛金 | 67,188億円 |
支払共済金 | 42,322億円 |
21世紀に向けた世界の協同組合の活動指針を示す新しい協同組合原則
(1996年10月JA全中「21世紀の協同組合原則」JA訳)
※この声明は、1995年9月のICA全体総会で採択されたものです。
協同組合とは、人々が自主的に結びついた自律の団体です。人々が共同で所有し民主的に管理する事業体を通じ、経済的・社会的・文化的に共通して必要とするものや強い願いを充すことを目的にしています。
協同組合は、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯という価値に基づいています。組合員は、創始者達の伝統を受け継いで、正直、公開、社会的責任、他者への配慮という倫理的な価値を信条としています。
協同組合は、その価値を実践していくうえで、次の原則を指針としています。
協同組合は、自主性に基づく組織です。その事業を利用することができ、また、組合員としての責任を引き受けようとする人には、男女の別や社会的・人種的・政治的あるいは宗教の別を問わず、誰にでも開かれています。
協同組合は、組合員が管理する民主的な組織です。その方針や意思は、組合員が積極的に参加して決定します。代表として選ばれ役員を務める男女は、組合員に対して責任を負います。単位協同組合では、組合員は平等の票決権(一人一票)を持ち、それ以外の段階の協同組合も、民主的な方法で管理されます。
組合員は、自分達の協同組合に公平に出資し、これを民主的に管理します。組合の資本の少なくとも一部は、通例、その組合の共同の財産です。加入条件として約束した出資金は、何がしかの利息を受け取るとしても、制限された利率によるのが通例です。
剰余は、以下のいずれか、あるいは、すべての目的に充当します。
・できれば、準備金を積立ることにより、自分達の組合を一層発展させるため。なお、準備金の少なくとも一部は、分割できません。
・組合員の利用高に比例して組合員に還元するため。
・組合員が承認するその他の活動の支援に充てるため。
協同組合は、組合員が管理する自律・自助の組織です。政府を含む外部の組織と取り決めを結び、あるいは組合の外部から資本を調達する場合、組合員による民主的な管理を確保し、また、組合の自主性を保つ条件で行います。
協同組合は、組合員、選ばれた役員、管理職、従業員に対し、各々が自分達の組合の発展に効果的に寄与できるように教育・研修を実施します。協同組合は、一般の人々、一なかでも若者・オピニオン・リーダー一にむけて、協同の特質と利点について広報活動します。
協同組合は、地域、全国、諸国間の、さらには国際的な仕組みを通じて協同することにより、自分の組合員に最も効果的に奉仕し、また、協同組合運動を強化します。
協同組合は、組合員が承認する方針に沿って、地域社会の持続可能な発展に努めます。